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 離婚紛争は元公証人の弁護士  山本信一法律事務所へ

【離婚をお考えの方へ   
その② 取決め方の具体例】

  • 離婚に当たり、離婚当事者において種々の項目を取り決めておくことには合意しているものの、具体的にどのような文言で書き表したらよいか困っている方が見受けられます。ここでは、その具体例を紹介します。

第1 書類の形式について

結論から言うと、養育費や慰謝料など金銭債権債務が発生する場合には、両当事者だけで作成する私文書としての形式ではなく、公正証書による作成をお勧めします。理由は、債務者が「強制執行認諾条項」を承諾することにより、債務不履行があった場合に債権者における強制執行が容易となるからです。

第2 養育費について

① 基本的なパターン

子供の養育費については、子供一人当たり各月金〇円ずつ支払うという形式で定めておくと将来における紛争予防につながります。時々、子供三人がいる場合に、三人分として各月〇円ずつ支払う旨の原案を提示されるケースがありますが、三つ子であれば別として、子供一人ずつ成人に達する日が順次到来して、月ごとの養育費総額もそれに応じて減っていくからです。

具体的には「甲は、乙に対し、甲・乙間の子である丙、丁の養育費として、〇〇から丙、丁それぞれが成人に達する日の属する月まで、丙・丁一人当たり各月金・・円ずつを、乙が指定する方法で支払う。」となります。

② 大学等へ進学した場合の養育費支払期間の延長の場合

両当事者間で合意があれば、子供が成人に達した後のある一定期間における養育費支払いの延長が認められる場合があります。問題となるのは終了期限です。「大学を卒業するまで」という定め方だと、その期限が不確定となるため、その終了時期を巡って紛争へと発展しかねません。そこで、一般的には上記①の次に「第2項」と項を改めた上で「丙・丁が成人に達する時点で大学へ進学していた場合、甲は、乙に対し、丙についてはその大学卒業予定時期である〇〇年の3月まで、丁についてはその大学卒業予定時期である〇〇年の3月まで、それぞれ一人当たり各月金・・円ずつを前項と同様の方法で支払う。」などと記載して、その支払継続の終わる時期を確定させておきます。

③ 養育費とは別の就学費用等の負担方法の取り決め

子供の養育には、純粋の養育費用のほかに、進学・入学の費用など毎月の養育費では賄えない出費が伴うものです。しかし、この種の費用は、その発生が必ずしも確定的でなく、額も不確定であるため、養育費と同様の形式で定めることは出来ません。また、万一お子さんが事故又は入院等で多額の医療費を要する事態となることもないわけではありません。このような出費が発生した場合に備えて、次のような条項を記載することがあります。「第〇条 丙・丁の小学校以降の入学・進学に要する費用及び塾費用については、その都度甲・乙において協議し、その負担方法・負担割合を定めるものとする。」、「第〇条 丙・丁が、事故若しくは疾病等によって多額の費用負担を余儀なくされる事態となった場合、甲・乙は、その費用の負担方法・負担割合を協議して定めるものとする。

甲・乙間における上記協議がととのわない場合には、調停などによって決めてもらうことになります。

第3 養育費以外の子供に関する条項

① 面会条項について

監護権者の下にいる子供と非監護権者との面会交流は、子供の成育環境の上で重要な働きをします。この面会に関する一般的な条項は、「乙は、甲に対し、甲が丙・丁と面会することを承諾し、これに必要な協力をすることを約した。」「上記面会の日時・場所その他具体的方法については、丙・丁の年齢及び生活環境とともに丙・丁の意思を尊重し、適宜甲・乙において協議したうえで定めることとする。」という文言となります。

この面会交流を巡っては、「1か月に1回以上」などと回数を定めた合意が見られます。しかし、当該合意を形成した時点においては、月に1回以上も可能でしょうが、子供の成長とともに、その約定が実現不可能となる場合もあります。あくまで目安としてでしょうが、あまり堅苦しく取り決めてしまうと、後々約定違反との主張の原因になりかねず、緩やかな定め方にしておくのが良いと思います。

② 離婚後の「住所、勤務先、電話番号等連絡先」が変更した場合の通知について

離婚が成立したとしても、両当事者間においては、養育費の支払い方法、特別の費用の負担方法、面会交流の方法など、双方協議を要する事態が起こり得ます。このような場合、相手への連絡方法を把握されていないと協議そのものもできないことになります。そこで、一般的には「甲・乙は、本離婚の成立後にそれぞれの住所、勤務先、電話番号等の連絡先に変更が生じた場合には、それぞれ速やかに書面により相手方に通知するものとする。」という条項を記載しています。ただ、中には離婚成立後に住所まで相手に知らせることに抵抗を感じる方もおられます。そのような場合は「電話番号又はメールアドレス」とするのも一つの方法です。

第4 慰謝料について

離婚における慰謝料債権債務は、一般的には離婚原因を作り出したこと及び離婚という結果に至ったことにより、その原因を作出した一方の当事者から、相手方当事者に対する損害賠償として発生した金銭債権債務です。そのため、まずは損害賠償債権として幾らの金額となるかが決められて、その上で、その金額を一括で支払うか分割で支払うかが決められることになります。一括であれ分割であれ、支払う金額と支払い期限は確定されている必要があります。例えば、慰謝料として金100万円を5回の分割弁済とする場合には「甲は、乙に対し、本離婚に伴う慰謝料として金100万円の支払義務あることを認めたうえ、〇〇から□□までの5か月間にわたり、各月金20万円ずつを毎月末日までに乙が指定する金融機関の預金口座に振込手数料を甲の負担において振込送金して支払う。」となります。   

第5 財産分与について

離婚における財産分与は、婚姻中に夫婦で獲得した財産を生産するものとして設けられた制度ですが、様々な態様があります。

① 不動産の分与

文例としては「甲は、乙に対し、本件離婚に伴う財産分与として、後記不動産目録記載の不動産(目録は省略)を財産分与として譲渡することとし、同不動産について財産分与を原因とする所有権移転登記手続をする義務あることを認める。」となります。

ただし、この不動産に関するローンが残っているような場合には、ローン債権者の承諾を得る必要があるほか、未払いローンの支払い方法、同支払いが滞った場合の解決方法などまで決めておく必要があって複雑な内容となります。

② 退職金の分与

退職金を受け取った場合に、その中の一部を財産分与として給付するとの合意がなされる場合があります。しかし、退職金が給付財産となる場合、幾つかの問題点があります。その一つは、退職金が支払われるかどうかの確実性がないこと、その二は、給付の期限をどのようにして定めるかということです。そこで、一般的な例を紹介しますと「甲は、乙に対し、本離婚に伴う財産分与として、甲が〇〇〇〇を退職し、〇〇〇〇から退職金が支払われたとき、金・・・・万円を、その支給を受けた日から・・日以後まで、または20・・年〇月〇日のいずれか先に到来する日までに、乙の指定する金融機関の預金口座に振込手数料を甲の負担において振込送金して支払う。」となります。

③ 扶養的財産分与

上記①②の典型的な財産分与とは異なりますが、離婚成立後における不十分な生活能力(経済力)を補完する目的で、一定期間にわたり一定金額を給付する形での財産分与があります。離婚の際に、養育費や慰謝料ではなく本来の財産分与でもないが、金銭給付を内容とする合意が形成されることがあります。そのような場合には「甲は、乙に対し、本離婚に伴う扶養的財産分与として、〇〇年〇月から〇〇年〇月までの間、各月金・・万円ずつを、毎月末日までに、乙が指定する方法で支払う。」のような文例となります。時には、「解決金」とか「清算金」というような項目で合意される場合がありますが、公正証書として作成される場合には、上記「扶養的財産分与」として法律構成されます。

 

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