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遺言作成・相続でお悩みの方は元公証人の弁護士山本信一法律事務所へ【遺言案の作成として提供するサービスの具体的内容】

当事務所において遺言案文作成として提供させていただくサービスの具体的内容は次のとおりです。

第1 はじめに

1 依頼者に対し、最初に遺言本体に関する項目として次のような質問をさせていただきます

① どのような内容の遺言を作成したいとお考えですか、概要をお聞かせください

② 遺言書は手書きの遺言として作成しますか、それとも公正証書遺言として作成しますか

③ ご家族(相続人)及び親族の構成はどうなっていますか

④ 今回作成する遺言に記載したい財産は、どのようなものがありますか

⑤ これらの財産を、どなたに、どのように承継させたいのですか

このような質問をした上で、具体的な準備に取り掛かるのですが、その説明の便宜上次の設例に基づき説明していきます。

《設例》

今回の依頼者(遺言者)が望まれていた遺言内容は、次のようなものであったとします。

〇 財産としては、自宅の建物と敷地、賃貸中のマンション、遠隔地である生家近くの山林、A銀行・B銀行・C銀行への各預金債権、甲証券会社に預けてある株式等金融資産、ゴルフ会員権など

〇 相続人は、妻と長男、長女、次男の4人

〇 承継内容  自宅の建物と敷地は妻に、賃貸中のマンションとA銀行への預金は長男へ相続させ、生家近くの山林は跡取りとなっている兄へ遺贈する。弐男は外国へ行ってその後音信不通となっているため、弐男へは何も相続させないこととすること

〇 公正証書遺言として作成する 

2 必要書類の取り揃え

上記内容による遺言を作成する上で必要となる書類の取り揃えをお願いします。もし、遺言者において自ら取り揃えが難しいという場合には、当事務所において委任状をいただくなどして書類の交付申請を代行いたします。

上記事例で取り揃えが必要な書類としては

〇 遺言者及び奥さんその他財産承継者の現在の戸籍謄本、〇 土地・建物の不動産登記簿謄本、〇 不動産に関する納税通知書又は評価証明書、〇 預金に関する銀行名・支店名と各口座の預金残高のおおよその額を記載したメモ、〇 ゴルフ会員権の会員証、〇甲証券会社から定期的に送付される取引明細書、などです。

なぜ、戸籍謄本や不動産の登記簿謄本が必要になるかというと、遺言作成に最も大事なことは財産と人を特定することです。その手掛かり、すなわち根拠になるのは戸籍謄本と登記簿等になるからです。ゴルフ会員権も、発行会社、会員券番号、会員券の種類などを正確に記載するためにご提示をお願いすることになります。

この書類の取り揃えにおいて、例えば戸籍謄本ではなく改製原戸籍を取り寄せられる方がおられますが、遺言においては過去の戸籍ではなく現在の戸籍が必要となりますので市役所などにおいては「現在の戸籍謄本を」と言って申請してください。また、不動産の登記簿謄本も今では原本所在地でなくても法務局(登記所)ならどこからでも、誰でも取り寄せられるようになっています。

第2 案文の作成

上記第1の1で聞き取った内容と、同2で取り寄せていただいた資料・書類に基づいて案文を作成します。

この案文の作成作業は、ただ単に遺言者から聞き取った内容を文章化すればよいというのであれば簡単なのですが、内容として有効であり、なおかつ矛盾なく、しかも簡潔でわかりやすい文章でなければなりません。そして、内容的に問題がなく、かつ、矛盾がない文面であると同時に、将来的に事情が変わったとしても可能な限り遺言の作り直しをしなくても済むような構成・文面としておかなければならないので、いくつか検討を要するところがあります。

その第一は、遺留分に対する配慮です。将来において、音信不通の故に財産を承継させない弐男から連絡があり、「私の遺留分はどうなってるの」と言われたら、誰がどのように対処すべきなのかです。

第二は、もし仮に遺言者と奥さんとが同時に死亡するに至った場合、あるいは長男が何らかの事情で先に死亡してしまった場合はどうするかについてです。遺言者と奥さんが同時に死亡した場合、奥さんへ行く予定の自宅の建物と敷地については遺言がなかったのと同じ状態になるところ、相続人の一人である弐男と連絡が取れないとなると自宅建物と敷地についての遺産分割もできないことになります。また、長男が遺言者よりも先に死亡した場合についても同じです。このような中で、例えば長男が何らかの事情で遺言者よりも先に亡くなった場合には、遺言を作成しなおすこともできますが、その時点で遺言者が認知症により判断能力が失われて遺言を作れないということにもなりかねません。ここで用いられるのが予備的条項です。「仮に、妻が遺言者と同時若しくは先に死亡した場合には、自宅不動産を〇〇に相続させる」という条項を加えておくのです。長男に関する条項においても同じです。

第三は、遺言者が現に負っている債務若しくは将来負担することになった債務についてです。通常、借入金その他負債については遺言に記載されませんが、例えば賃貸マンションについての敷金返還債務、ローンの未返済債務など、負担者を明確にしておく必要がある場合は記載することができます。 

第四は、この遺言書に記載されていない財産あるいは将来新たに取得した財産についてはどうするかです。住居の中にある家具・調度品はあまり問題にならないかもしれませんが金塊その他高価な宝飾品があった場合です。また居宅を建て直して新たな建物にした場合、あるいは新たなマンションを購入した場合などです。

その他、まだまだ検討を要する事項はありますが、これらについは一つひとつ記載しておくかどうか、誰に承継させたいのかなどお話をお聞きして案文に記載していきます。

なお、些末なことではありますが、文章の語調として「ですます調」にしますか、それとも「である調」にしますかというようなこともご希望どおりにいたします。また、遺言書の冒頭部分、すなわち各条項の前に、この遺言作成の思いなどを書き示しておくこともできますのでご要望があればおっしゃってください。 

第3 遺言内容に関する更なる質問

1 遺言の本体部分ともいえる財産の承継内容がおおよそ把握できて文章化の作業が進みはじめると、次に更なる質問事項として次のような事柄をお尋ねします。

① 遺言執行者を指定しておくか、指定するなら誰にするか

② 祭祀主宰者・承継者の指定をどうするか

③ 付言事項の記載をするかどうか、記載する場合にどのような内容とするか

2 遺言執行者の指定について

遺言執行者とは遺言者が死亡して遺言が効力を生じたあと、遺言書に記載されている財産の権利変動等遺言の内容を実現させる手続をする人です。特に、不動産については登記名義の移転、預貯金については口座からの払い戻し、解約などの事務手続をすることになりますので、法務局や銀行などへ行けるフットワークの軽い方、なおかつ遺言者よりも若い方を指定することをお勧めします。

3 祭祀主宰者・承継者について

例えば、遺言者がそのご両親や先祖の墓など祭祀財産を承継されていないのであれば、あまり深刻に考える必要はありません。そのような場合は、ご自分の葬儀や埋葬について、誰にどのようにやってもらうか考えるだけでもよいと思います。しかし、そうでない場合は特に菩提寺との今後のお付き合いなどもあるので、よくよくお考えになられたほうがよいと思います。このような事柄については、「そんなことは長男がやるだろう。」と思っておられる方が見かけられます。その通りになればよいのですが、昨今、そのようなことを深刻に受け止められている方は少なくなり、また祭祀承継をするとなると費用の負担も伴うことなので、なかなか難しいところがあります。これとは逆に、兄弟間の対立・確執から祭祀主宰者の取り合いという争いが生じないとも限りません。もし遺言に記載があれば、遺族の方々も「親父がこのように決めたのなら、それに従おう」などと諦めて、丸く収まることもあるようです。

4 付言事項について

一般的に、付言事項は遺言の本体部分とは別で、ここでの記述には法律的な効果は生じないと考えられています。ところが、遺言を実行有らしめる上で極めて有効に機能することもあり、あなどれない部分です。では、何を書けばよいのかというと、例えばこの遺言を作成することにした理由や背景事情、記載した財産承継内容を考えた経緯と理由、一部の相続人に財産を承継させないことにした理由、これまでお世話になった方々へのお礼や感謝の言葉など、とにかく書きたい内容を遺言者の言葉で書くことができるのです。相続人でありながら財産をもらえない人がいる場合、遺言者において、その理由を、遺言者ならでは言葉で、具体的に記述しておくと、それが真実であれば、財産をもらえない人においても諦めざるを得ないことになるかもしれません。ここでは、相手を刺激するような言葉は避けつつも、可能な限りありのまま、かつ、具体的に記載することをお勧めします。ただ、一つご注意いただきたいのは、この付言事項に「私の葬儀は、〇〇寺で、〇〇、〇〇らに来てもらって」などと、葬儀のやり方を指定したいといわれる方がおられのますがお勧めできません。このように記載して事前に関係者に読んでもらっておくならよいのですが、これを開示しないでいると、葬儀が終わってから遺言が開けられて、こんなことが書いてあったよということになりかねないからです。

第4 案文の確認

上記各質問事項をお尋ねして聞き取った内容に基づき案文を作成し、これを遺言者にお渡しして読んでいただきます。財産の承継内容、承継者のお名前と文字、その他記載内容全体が遺言者の考えておられる内容になっているかどうか、数日かけて繰り返し読んでいただきます。そして、内容は勿論名前の文字などに間違いがあれば遠慮なく言っていただいて、速やかに修正案文を作成してお渡しいたします。

第5 公証役場への作成依頼

案文が最終的に確認されたら、公証役場に遺言公正証書の作成を依頼します。この時、案文とともに戸籍謄本、不動産登記簿謄本、その他必要書類の現物を送付します。

このころ遺言者に新たに取り寄せていただく書類があります。それが印鑑登録証明書です。印鑑登録証明書は、公正証書作成時点で発行から三か月以内のものが厳格に求められるため、あまり早くに用意されると三か月を経過してしますおそれがあり、そうなると二通目をとっていただかざるを得ないからです。

第6 遺言公正証書の作成

上記のように公証役場へ必要書類を送って作成の依頼をしますと、公証役場では、案文と資料との突き合わせなど必要な点検をした上で、公証役場としての案文を作成して送ってくるので、遺言者にはこの案文についても見ていただきます。その際、公証人から案文について若干の修正があるかもしれません。また、この段階においてでも、遺言内容を変更させたい場合には変更が可能です。こうして文案が確定され、戸籍謄本その他必要書類がそろいますと、いよいよ最終的な遺言公正証書作成の日時が調整されて決まります。作成日時は、基本的に遺言者の要望が入れられる形で決まります。

作成の当日、遺言者は、実印を忘れないようにしてお持ちください。この実印が作成の時、その場にないと、ご本人に間違いない場合でも、作成してもらえないことになります。実印以外の持ち物は一切ありません。

作成手続の概要はつぎのとおりです。まず、遺言者と立会証人二人が公証人の前に座ります。公証人から完成した遺言公正証書の原本、正本、謄本各一通が差し出されます。そして持参された実印と印鑑登録証明書の印影との突き合わせをします。ときどき実印と銀行の届け出印とを間違えて持ってこられて作成がストップすることがあります。よく確かめてお持ちください。実印の照合により遺言者ご本人と確認されると、公証人が原本を読み上げます。遺言者と証人は正本と謄本を一緒に目で追って、内容が遺言者のおっしゃった内容どおりになっているかどうか確認してもらいます。内容が考えていたところと違っていたり、誤字脱字に気付かれたら遠慮なく言ってください。その場ですぐに修正されます。こうして確認が済むと、まず遺言者が、次いで証人二人が署名押印し、最後に公証人が署名すると出来上がり、すなわち完成です。公証人から正本と謄本を渡されますので持ち帰ってください。原本は公証役場に保管されます。

第7 自筆証書遺言での作成を希望される場合

自筆証書遺言(手書き遺言)の作成をお考えの場合も、上記第4の案文の確認までは同じようにすすめます。自筆証書遺言の場合は公証役場への作成依頼以降がない代わりに遺言者ご自身で遺言書を手書きして作成していただくことになります。ご依頼があれば、その手書き部分についてのチェック・点検など行い、とにかく安心して作成していただけるようにサポートします。

第8 遺言の効力の及ばない部分について

遺言の作成に関して当事務所としてご提供できるサービスの内容は以上のとおりです。最後に、余談となりますが遺言の効力について知っておいていただきたい若干の事項について記載しておきます。これは、遺言を作成したとしてもどうにもならない部分、言わば遺言の法律効果の限界の話です。

その一は、内容についてで、内容が違法あるいは公序良俗に反するなど無効とならざるをえない内容の場合、公証人はそのような遺言を作成しませんし、自筆証書で作成しても効力は認められないことになるはずです。

その二は、国外にある財産についてです。在外資産についての承継を記載したいと言われる例もありますが、このような場合はいろいろと調査検討が必要です。そもそも我が国で作成される遺言については日本の法律のみが適用されることを前提としています。もし国外にある財産を〇〇に相続させたいという場合には、その財産のある国の法律や制度を調査確認し、場合によっては財産のある国において、その国の法律に基ずき遺言を作成しなければならないかもしれません。ただ、法律的効果の発生までを求めるものではなく、「あの財産は、このようにしたいのだけど」というような考えているところを明記しておきたいという場合には、付言事項の中に記載しておくという方法もあります。

その三は、遺言には将来における紛争発生を抑えるまでの機能はないということです。遺言の作成が終わった後、「これで争いはおきないから安心だ」などと口にされる方がおられます。遺言を作成しておけば、ご自分の死後にはこの遺言に記載したとおりの財産承継が実現されるので親族間での争いは発生しないと思われているのでしょうが、遺言には争いの発生を封ずるまでの機能はありません。遺言内容に不満を持った方がいれば、その方が自己の主張をしたり、裁判で争ったりする自由はあるわけです。ただ、遺言が作成されてあれば、内容に納得されない方から裁判を起こされるなどして紛争が生じたとしても、遺留分に関する部分をのぞいて、結果的には遺言に記載されている内容がほぼ実現されることになるということになります。それでは、思い通りに書いても意味はないのかといわれると、必ずしもそうとは限りません。例えば、数人の子供の一人には、他と比べて少ない財産を承継させるとの遺言の場合、遺言者において、付言事項の中に、なぜこのような遺言にしたのかの理由を、ありのままに詳しく記載しておけば、これを読んだ人は、「この通りだからしょうがないか」とか、「これが親父の意思ならそれに従うか」などと受け止めて争うのを諦めるか、諦めないとしても、遺言者から残された「最後の生の言葉」として裁判で生かされるかもしれません。

やれることはやっておいたほうがよいと思います。

 

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